2011年04月06日

まだまだ洗濯室にて。

こんばんは、
エベレストライブラリスタッフブログの者(Gt.)です。

「また四月が来たよ 同じ日のことを思い出して」 椎名林檎『ギブス』より

四月ということで初心にも還るし尚かつ心機一転と欲張りに頑張りたいところです。
そういえばこの歌詞にコートニーとカートが出て来ましたね。
いやはや懐かしいです。

四月五日。
今日(日付の上では昨日になってしまいました)は何の日でしょうか。
四の五の言わない日?
いいえ、四の五の言う日です!
今日はカート・ドナルド・コバーンの命日です。
1990年代前半にグランジブームを巻き起こしたバンド、ニルヴァーナのカート・コバーンです。
原語に忠実寄りな精確さで発音しようと試みるのだとするのなら「コベイン」の方が近いそうです。

rip kurt.

グランジ、そしてオルタナティヴロックについて語りましょう、ひとりでに。

物凄くざっくりと言うのなら、僕は所謂ブリットポップと呼ばれるブームの世代でした。
90年代のど真ん中、英国のバンドが数多く世の中を賑わした頃です。
その少し前にグランジのブームがあったのです。
映画『ターミネーター2』は1991年に公開されました。
作品中の舞台は一作目から十年後の1994年、つまりその時点では近未来です。
未来において人類の救世主となるジョン・コナーは十歳の少年で、
ハードロック垂れ流しのラジカセを持ち歩いて友達とバイクで排水溝を疾走したりします。
ガンズ・アンド・ローゼズの『ユー・クッド・ビー・マイン』。バキバキのハードロックです。
1994年なら実際はグランジブームの真っ直中です。
MTVが華やかに賑わっていて、
グランジさえも彩りのひとつとして頻りにもて囃され盛り立てられていました。
地下放送をする若者二人組の物語、『ウェインズワールド』というコメディが、
この時代を象徴的に描いています。
『T2』の監督のジェームズ・キャメロンは当初、違う楽曲を使いたかったそうですが、
いろいろな折衝の結果、GUNS N'ROSESの『YOU COULD BE MINE』に決まったとか。
結果的にターミネーターのライダーズファッションとかと照らし合わせたり、
ジョンのポジティヴな不良少年っぽさや、曲自体の派手な迫力からするのなら、
それこそターミネーターがやるみたいにMATCH(一致)だった訳ですが、
誰の何という曲だったのかは忘れてしまったものの、
当初予定されていたのはもうちょっとアンダーグラウンドなものだった気がします。
ジム・キャメロンの感性はやはりグランジを見抜いていたのではないか、と思いたいです。
ファンなんで!

『TERMINATOR 2 : JUDGEMENT DAY』の初公開は1991年7月3日、
驚異的な売り上げで瞬く間にグランジブームを作り出したニルヴァーナのセカンドアルバム、
『NEVERMIND』の発売は1991年9月24日です。

僕が本格的にギターを手に取ったのは、カートがショットガンを手に取った二年後でした。
軽音楽部でギターを弾いたりゲリラライヴを敢行して怒られたりしていました。
ニルヴァーナに関しては、軽音楽部の先輩諸兄が時折話題に上げたり演奏したりしているくらいで、
やっぱり軽音楽部というのは楽譜やらCDやらカセットテープやらMDやらが行き交っていたので、
誰が教えてくれたのかも憶えていない程すんなりと僕も『NEVERMIND』を聴きましたし、
先輩に誘われてニルヴァーナのコピーバンドのギターにめでたく選ばれたりもしましたが、
部内で重鎮とされる方々と組むので荷が重かったことと、
その時はそんなにニルヴァーナが好きになれなかったことがあって、
ちょっと大変でした。
(因みにガンズのポスターも部室の扉の内側に貼ってありました、
ウネウネのミートスパゲティの接写みたいなやつ、
軽音楽部の部室とか、
三年毎ずつくらいに徐々に音楽文化の変貌が見て取れる空間というのも実に面白いですね)
ハードロックもそうなんですけれど、グランジも、なんか、全体的に重苦しかったのです。
so young、或いはtoo youngだったのかも知れません。
やっぱりgreen dayみたいなのが好きだったのですね、あの頃の僕は。
その後も家族で出掛ける機会などに車で『NEVERMIND』を掛けてみたりもして。
『lithium』だけはほんのり好きでしたが、
深く好きになることはありませんでした。
うちの父も、ちょっとだけ囓り聴きしただけで、
「そんなに暗く思い詰めなくても良いのに」と声の主に向けて呟く程に、
楽曲からその暗さは伝わってしまうようでした。
やがてオアシスだのブラーだのトレインスポッティングだの何だの、と、
ブリットポップの渦の中で高校生活を送りました。

それからしばらくは、ニルヴァーナに構うこともなく、
アヴリル・ラヴィーンを聴きながらベッドの上で飛び跳ねて踊ったりとか、
下らない日々を過ごしていました。
しかし、2005年頃に自分の中で急激にニルヴァーナの存在が再浮上、のち、大フィーチャーされ、
すっかりはまってしまいました。
何だこれは!
という衝撃でした。全くもって不思議な体験でした。
だって、聴いたことがあるのです。
同じものを聴いただけのことなのに、「何だこれは!」と叫んでしまっているのです。
実に素晴らしいのです!
独特のかっこよさを突いていてしかも気怠さという珍味的な魅力を伴う作曲センスもそうですが、
歌詞もぶっちぎりでポエムです。良い。
『about a girl』なんかカートアポカリプス後の今の僕からしたらシャンパンのようにキッラキラ!
飲み会で居酒屋に行けばお座敷席の角っこの隅っこで、
空っぽのビールサーヴァから洩れて滴るベタベタした畳や座布団の間に埋もれるようにして、
激しく暗い『something in the way』なんかを歌うくらいにまで成長しました。
(でも意外と誰かがハモってくれたりするのです!)
アヴリルの『sk8er boi』ではしゃいでいた、同じ男が、
その後(!)、『come as you are』でベッドで飛び跳ねるとは、一体誰に予測出来たというのでしょう!
『scentless apprentice』を流せばどんな映像も引き締まる気すらします。
『in bloom』のドラムのタム回しを聴いてエアドラム本能が発動しない方がどれだけいるのかって、
試すまでもなくガッテンって感じです。
『aneurysm』なんかグランジ星のグランジ色の四季折々を小舟で旅しているようです。
『sliver』だったら僕50分は延々繰り返し弾き語りする自信があります!
おおアヴァディーン、シアトル、カート!

何故後から好きになったのでしょうか。
何かが何かに追い付いたのでしょうか。
大人になってから、ある日、苦手だった銀杏を食べてみたら、好きになっていた、
あの感じに似ているのでしょうか。
似ているし、更にもっと奥深く進んだ心の中の、
電光のように感覚が飛び交う地底湖世界での人智を超えた奇跡のようです。

カートが亡くなった後に好きになるなんて、当たり前のようだし、変な感じもします。
『聖闘士聖矢』の聖矢や一輝の年齢を追い抜いたり、サザエさんの年齢を追い抜いたりした時は、
特にこれといって立ち止まることもなかったのですが、
やはりカートの年齢を追い抜くのは、凄く奇妙に思えます。

僕が思うのは、カートはきっと、音楽が大好きで、聴くのが本当に好きだったのです。
そして自分が創る側に立ってみた時、やはりいろいろと思うようにならない苛々も当然あって、
素直に悩んでしまっていつもモヤモヤしていたのだと思います。
きっと他の、器用に立ち回ることの出来る人たちというのは、
そういうのは踏まえた上で、気楽にこなしてゆく才能があるのです。
真面目で、良い人だからこそ、真剣に悩んでしまうのですね。
ニルヴァーナのいくつかの映像を観てみると、ひねくれ者の悪ガキという印象があります。
ボロボロのジーンズにフランネルシャツにカーディガンの髪の長い若者が、
嫌っていた筈の世間からチヤホヤされ、その戸惑いたるや未知数も未知数だったことでしょう。
掌を返したような態度の人々、どう扱って良いのやらという目をして来る人々を相手にする日々。
様々なプロセスとか対外的なスタンスやアティテュードを、
誰もが心の中ではきっと下らないと思っているけれど、仕方がなく我慢してやっている。
けれど、本当にそれをぶち壊す人たちがいた。
ニルヴァーナが生放送のTV番組の音楽ランキングの今週の一位でゲストライヴをする映像、
音源からきちんとした演奏が流れているのに、
弾いているフリをして真剣にパフォーマンスせよ、というのを拒否して、
おかしな出で立ちで現れて、偽オペラみたいな変な声で歌って、
ゆったりストロークしたりベースギターを振り回したりドラムスティックを掲げたり。
それなのにスタジオの観客は構うことなく歓声を上げ体を揺らしている。
全くとんでもないカオスです。
どんなに茶化しても、世の中の潮流の前では歯が立たない。
今こうして冷静に観ると、そのすべてがおかしいのだからカートが正しいと言いたくもなります。
うーん難しい! 確かに子どもっぽいけど、でもやっぱり痛快だし、笑ってしまうのです。

時折、すべての人がやっていることが馬鹿らしく思えてしまうことがあります。
そんな時は、カートのリアクションを想像します。
偉そうな人、人気者ぶる人、
空想のカメラをカットバックして、それを見ているカートのリアクションを想像するのです。
自己表現や自己実現をうまくやっている人、
何かと人生がうまく行っていなさそうな人、
どちらを見ても落ち込みます。
右クリックにも似た冷静さで、カートのリアクションのコースへ。
カートがニヤリと笑います。貶します。そしてその後、落ち込むのです。
きっとどの世代の若者にも、そろそろぽつぽつとやって来るミレニアムティーンにも、これから先も、
すげえ、と思わせ、その音は、心に残るのです。
そして、心残りは、最終作となってしまった『IN UTERO』の次のアルバムを想像する時です。
本当に、こればっかりはどうにもならない。
もっと曲を書いて、歌って欲しかったです。

先日、ふと思い立ち、久しくギターをその手に取りました。
かつてしばしば弾いていたteenage fanclubの『sparky's dream』は勿論のこと、
今回は、the stone rosesの『made of stone』や、
the pixiesの『here comes your man』もギターで弾いてみました。
高音のリフと、低音のリフ。
とても良いものです。
80年代後半から90年代の初頭に渡って、こんな感じのバンドがあったなんて、
その当時は全く知る由もありませんでした。オルタナティヴロックです。
僕は割り算を習って間もなくで分母や分子と戯れており、
その後も漸くロウティーンになりたてもなりたてというところでしたから、無理もありません。
オルタナティヴとは、メインストリームではない、という意味合いなのでしょう。
主流があってこそ、亜流もあるのです。みんな違ってみんな良い。
それでもやっぱり、好きなものの方にもう少し心が傾きます。
オルタナティヴロックのバンドたちがあって、
シアトルがあって、グランジっていうのがあって、本当に嬉しいのです。

友人のノブくんが、『YUTA's BEST』と書いてあるカセットテープを貸してくれました。
ニルヴァーナの曲のヴァージョン違いやレアトラックが多数収録されていました。
ユータが誰なのかは僕は知らないのですが、きっとノブくんの名古屋のお友達なのでしょう。
その中に『sappy』という曲がありました。
どのアルバムに入っているのかも良く分からないくらいの、出自不明の未発表曲。
恐らく何らかの企画盤かブートレグなんかから録音したのでしょう。
ちゃんと調べれば分かると思うのですが、
「まあそう堅いことを言わずに」という向きでぼんやりとただ聴いてしまうのです。
友達が友達に貰ったカセットテープを借りている、という、まぜこぜサラダボウルのような世界。
そして『sappy』。
何だか宇宙の果てにぽつんと佇む、切なくてすてきな到達点を見つけたような気分でした。
そんな経験は今までありませんでした。
ひとつの楽曲と、自分の人生の時期と。
ありとあらゆる偶然と巡り逢いが重なって、言葉には表せない気持ちになる。
これがあるから、音楽っていうのはずっとずっと人間の傍を離れないのでしょうね。
洗濯室にへたり込んで漠然と存在し続けてみる時間を、僕はこれからも忘れることはないでしょう。


nirvana 『all apologies』(Cobain)  対訳:エベレストライブラリスタッフブログの者

 他にどうすべきなんだ。
 全謝罪!
 他になんて言えば良いんだ。
 全員ゲイだ!
 他に何が書けるんだ。
 俺にそんな権利ない!
 他にどうすべきなんだ。
 全謝罪!

 太陽の中、
 太陽の中ではひとつだと感じる。
 太陽の中、
 太陽の中、
 結婚した!
 埋められた!

 君みたいだったら良かった。
 あっさり楽しめる!
 塩を擦り込む俺の温床を探してくれ。
 全部俺のせい!
 全責任を俺が負うだろう。
 青緑色の海の泡沫の恥!
 火傷、凍傷、
 彼女の敵の灰で窒息!

 太陽の下、
 太陽の下ではひとつだと感じる。
 太陽の下、
 太陽の下、
 結婚した。
 結婚した。
 結婚した。
 埋められた!
 イエーイエーイエーイエー!

 すべてのなかのすべてはわたしたちすべて ×24



僕は一体全体、何をやっているのだろう。
こんなのエベレストライブラリ関係ない。
ていうか最早こんなのブログですらない。
でもこのカオスもまた、グランジィ。

僕がつらつらと薄汚れた文を綴っている間にも、
やはりカートと同じくカーディガンを愛用している関根さん(Dr.)に動きがあったようです!
コミックロケットvol.2に向けて、新作のアイディアがまとまった模様です。
そういえば、関根さんの作曲センスも素晴らしいですよ。
何処か別次元からメロディがモタモタと降りて来ているような即興をしたりするのです。
今は漫画を頑張っていただきたいですね!

関根さんはウクレレを持っているよ、え、ギタレレだってさ、何それ良さそう、エベレストライブラリ。
posted by エベレストライブラリSTAFF at 02:11| Comment(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。